この記事はLAPRAS Advent Calendar 2019の9日目の記事です
概要
- LAPRASに入る前、業務の内容をDMでたくさん受け取って辛いという課題があった
- DMを受け取るとパブリックチャネルに優しく誘導してくれるDM警察というBOTを作ったがLAPRASに入ったら需要がなかった
- なんでや?じゃあLAPRAS関係ないやろ!?
- まとめ
課題 - 業務の内容をDMでたくさん受け取るのは辛い
このような内容をDMで受け取ると少し困ります。
パブリックチャネルの発言であれば、僕がこの質問に答えられない場合でも「@知っていそうな人
さん、わかりますか?」とメンションするだけで事が足ります。たまたま会話を見ていて知っている人が能動的に答えてくれる事もあるでしょう。また、後々一連の会話をシェアしたくなったときでも、この会話へのリンクを貼れば経緯を伝えることができます。DMではいずれも叶いません。
本当に秘匿したい情報のやりとりを除いた殆ど全ての場合において、情報はパブリックでやりとりする方が良いはずです。良いはずですが、この手のやりとりをDMで行う人の割合は決して少なくありません。
以前の僕も、そういったDMを受け取るたびに上記の説明をしつつ、なるべくパブリックチャネルにポストしてもらうよう促していました。そして、これはおそらく日本のあちこちで行われている事でしょう。
DMを送る方には悪意がない
一方でDMを送る方としては、単純にパブリックチャネルに発言するメリットを理解していなかったり、使い方を知らなかったり、オープンな場所に投稿することをためらってしまうような空気があったりと、必ずしも悪意があるわけではありません。そこが悩ましいところです。
丁寧に啓蒙していくしかないのですが、やはり続くと辛い。そして言い続けているうちに、段々と「うるさいやつ認定」されていくのもまたつらい。
DM禁止は筋悪(だと思っている
一律禁止はしたくない、というスタンスです。有用なシチュエーションでは普通に使うべきだと思います。
なにより、大事なのはDMをしない事ではなく、パブリックに情報をやりとりすることです。その大切さを伝える方向で解決したいところです。
DM警察を作って公開しました
というわけで、諸問題を解決するBOTを作りました。ざっと特徴は以下の通りです。
- DMを受け取ると、BOTがパブリックチャネルに誘導してくれる
- コミュニケーションは職質風。パブリックチャネルに投稿する意義を啓蒙してくれる
- ゴネれば10分黙ってくれる
- 簡単に使える
- 権限が気になる人は、Herokuボタンで独自環境を構築することができる
DMを受け取ると、BOTがパブリックチャネルに誘導
DMを受け取ると、DM警察が現れてDM送信者に職質をかけてくれます。無視をしてもDMを受け取るたびに起動するので、あまりのウザさに流石に無視はされません。
拒否すると、パブリックチャネルに投稿する意義などを教えてくれます。「我々も仕事でやっているのですみません」という感じで、とてもウザい感じに仕上がっています。
ゴネ続けると、最後には諦めて許してくれます。10分離脱してくれるので、その間に会話を済ませることもできます。
Slackワークスペースに公式サイトからインストールできる
こちらが公式サイト です。動画やマニュアル、注意事項などが書いてあります。
「dm警察をslackにインストールする」ボタンを押すとSlack Appがインストールされます。インストール時にAppのWebhookを送るチャネルを聞いてくるので、あらかじめ「#DM警察」などを作っておくと良いでしょう。
また、誤ったワークスペースにインストールしないようにご注意ください。
Botにメンションする事で、DMの監視を依頼できる(監視してほしい人だけが使うことができる)
こんなふうに「パトロールよろしく」とメンションすると、パトロールしてくれます。
Herokuボタンで独自環境を構築することができる
DM警察のサーバはDMの内容を記録していませんが、DMを読めるという強めの権限を渡すこと自体がネックになるという方もいらっしゃると思い、ソースコードを公開してHerokuボタンも設置しました。コチラを参考に独自の環境を構築する事ができると思います。やってみてね。
あと、リポジトリにスターつけて頂けるとメンテ続ける意欲が強化されるので、気に入った方は是非ぜひ。
運用TIPS: 口うるさいのは人ではなくDM警察
DM警察がきたからには、もう口うるさく啓蒙する必要はありません。警察を呼んだのです。任せましょう。
たまにBOTを無視して会話する猛者も現れますが、そのときは「BOTがうるさいので、パブリックチャネルいきましょうよ」「DMめちゃ送ってくる人がいて(あなたなのだけど)、その人対策でDM警察いれたんです。すみません警察がうるさくて」などといって、DM警察という共通の敵を作りながら、パブリックチャネルに誘導してしまいましょう。
言いにくいことは機械に言わせる。社会性フィルタを通した言い回しも、一度考えればそれで終わりです。繰り返していいんです。DM警察は機械ですから。
と、このように運用をした結果、以前よりDMを受け取ることが減りました。
なんでや?LAPRAS関係ないやろ!?
そうおっしゃらずに、まずはこちらをご覧ください。
ご覧の通り、弊社LAPRAS株式会社のSlackは発言の殆どがパブリックチャネルにポストされており、全社的に非常にオープンな状態であるといえます。業務をしていてDMを受け取ることは稀で、その内容もパスワードなどの秘匿すべき情報や、休日の遊び関係の会話(子供どうしで遊ばせる会のために集合場所を決めたりetc)などであり、なんら違和感を覚えることはありません。
もうお気づきかと思いますが、このような環境ではDM警察に活躍の場はありません。オープンな組織では、DM警察は生きていけないのです。4ヶ月前にLAPRASに入社した僕はそのことに気づき、そして...DM警察のDynoを「0」に設定しました。当時のDM警察は僕だげが使えるレベルにしか整備がされていなかったため、その日がDM警察の命日となりました。
それから...
DM警察を止めてから数ヶ月が経ったある日、平和なSlack生活を送っていた僕はTwitterであるものを目にしました。それは「Slackで業務連絡がDMで送られてきて辛い」というツイートでした。多くの共感を集めたそのツイートは拡散され、議論の火種となり、一定の周期で僕のTLに「Slack DM辛いネタ」を届けるようになりました。
「僕は解放されたけど、世の中にはまだまだ苦しんでいる人がいるんだ。解決策を持っているのに、自分が救われたからといって電源を落として満足している、こんなことで良いのか?DM警察にも申し訳ないのでは?」TLをみるたびにそんな気持ちになりました。そしてこの「うしろめたさ」こそがDM警察を公開した動機です。
もしLAPRASに入らず、あのままDM警察が稼働していたら、きっと僕はある程度の満足感を持って過ごしていて、DM警察を公開することはなかったでしょう。DM警察を一度はリストラしたという後ろめたい気持ちが、制作の原動力になったのです。その意味で、DM警察を公開するにあたってLAPRASは大いに関係していると言えるでしょう。
まとめ
かくして、色々なところで運用しながら育ててきたDM警察でしたが、LAPRAS入社と同時に晴れてお役御免となりました。これからは僕のためにではなく、世の中の同じ悩みを持つ人のため、組織のために働き、LAPRASのようなオープンな文化の組織が増えていくことに貢献してほしいと願っています(若干自社を褒めすぎたかとも思いましたが、そこはまだ入社4ヶ月で、作り出したものよりも既存の枠組みに乗っている割合の方が多い今だからまだ許されることでしょう。とはいえそろそろ「これは俺がやったったで!ドヤァ」という成果を出したいものですね)。
それでは、快適なSlack Public Channel ライフを!
そして最後に
最後に 「それから...」の下りは全くの嘘です 。DM警察を公開したのは、MushupAwardsもといヒーローズリーグ2019に応募するネタを考えていたら「そういえばDM警察があったやん!あれでいこう!もったいないから公開しよう!」と思ったからです。嘘をついた上にLAPRAS本当に関係なく、誠に申し訳ありませんでした。
つまるところ「オープンな文化はいいですよね。LAPRASのそういうところが僕は好きです」というエントリだったと受け取って頂ければと思います。はい。申し訳ありませんでした。
それでは、快適なSlack Public Channel ライフを!
宣伝
反響いただいたのと、ちょくちょくご利用いただいているっぽいので、少しは役得を...ということで、宣伝を!させてください! LAPRAS株式会社は現在 WebAppエンジニアを絶賛募集中でございます。
DM警察は稼働していませんが、ご興味ありましたらこちらをご覧ください。
こういったものを作っています
こんな組織を目指しています